CPAPを使っていると高血圧が改善されるって本当?

CPAP

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療方法の1つであるCPAP。
SASの治療でCPAPを使っていると、高血圧が改善されることもあるってご存知でしたか?

この記事ではCPAPを使っていると高血圧が改善されることについてお話します。

SASで血圧が高くなるメカニズム

そもそもSASを患っている人には血圧が高いタイプの人が多いです。
なぜSASを患っている人は高血圧である傾向があるのかについて、簡単に説明します。

①睡眠時に無呼吸状態に陥るので血圧が高くなる

ご存知のように、SASを患っている人は眠っているときに急に無呼吸状態に陥ります。
そうすると、体内に残っている酸素をできる限り体中に行き渡らせるように、心臓は必死に血液を全身に送り続けます。

しばらくしたら呼吸が再開したので「もう大丈夫だ」と心臓が思っていると、また無呼吸状態に陥ります。
そうすると、心臓は再び全身に酸素を送るべく、血液を必死にポンプします。

本来、睡眠中は心臓も休むことができるため、日中と比べると血圧も下がります。
でも、SASを患っている人が睡眠中に無呼吸状態に陥るたびに、必死に血液を送り続けなくてはならないため、心臓は休むことができません。
そのため、SASを患っている人は無呼吸のない人と比べ、高血圧になりやすいといわれているのです。

アメリカで一般住民を対象に行われたSASについての大規模研究「ウィスコンシン睡眠コホート研究」によると、SASによる高血圧の発症リスクは1.4~2.9倍ともいわれています。

②塩分摂取量が多いため血圧が高くなる

SASを患う大きな原因の一つに肥満があります。
一般に、食事量が多いほど太りやすくなります。
食事するときに生の野菜や味付けしていない肉・魚ばかり食べる人はいませんよね。
つまり、食事量が多いということは、必然的に調味料による塩分を多く摂取してしまうことになります。
SASを患っている人は普通の人よりも多く食べる分塩分も摂取してしまう結果、血圧が高くなるのです。

SASを患っている人の高血圧の特徴

SASによる高血圧には、以下の2つの特徴があります。

①薬物治療は難しい

基本的に高血圧の治療は、食事を見直したり、運動量を見直すところからスタートします。
食事療法や運動療法を行っても血圧の高さに改善が見られない場合、血圧を下げる働きのある降圧薬を使った薬物療法が始まります。

しかし、3つ以上の降圧薬を使っても血圧がなかなか下がらない場合ことも…。
このような病態は治療抵抗性高血圧と呼ばれます。
SASを患っている人はこの治療抵抗性高血圧になりやすいことが指摘されています。

②高血圧の原因となった疾患へのアプローチが有効

SASによる高血圧のように、別の病気が原因で血圧が高い状態になった場合は二次性高血圧と呼ばれます。
二次性高血圧は「①薬物治療は難しい」でお話したように、一般的に薬物療法が効きにくいです。
しかし、血圧が高くなる原因となった別の病気を治せば、血圧が下がることが多いといわれています。

CPAPで高血圧を下げることができる!

CPAPはSASの対症療法として非常に有効であるため、多くの国でSASの治療に用いられています。
でも、CPAPは睡眠時の無呼吸を改善するだけではなく、実は高血圧も改善することができるのです。

CPAP治療を行うことによる最高血圧の変化

高森クリニックでは2019年に通院しているCPAP治療中の患者さんの血圧データが分析されました。
最高血圧は、CPAPのレンタル治療前時点では約145.3mmHgあったのが、CPAPのレンタル治療を開始してから1か月後では約132.9mmHg、3~6か月後では約127.8mmHgと、実に20mmHgも低くなりました。
患者さんの中には治療中の降圧薬が減ったという方もいたそうです。

なお、SASの患者さんでも血圧が正常な人の場合、最高血圧は、CPAPのレンタル治療前時点では約123.6mmHgあったのが、レンタル治療を開始してから1か月後では約122.9mmHg、3~6か月後では約120.6mmHgと、2mmHgぐらい低くなったそうです。

CPAP治療による降圧効果は薬物療法より優れている

スペインのMiguel-Angel Martinez-Garcia氏らによるHIPARCO試験では、SASと治療抵抗性高血圧を合併している患者を対象に12週間CPAP治療を受けた場合と薬物療法を受けた場合とで血圧の改善度合いに違いがあるかが検討されました。
その結果、CPAP療法のほうが薬物療法だけを受ける場合と比べ、24時間平均血圧や拡張期血圧が低下することや、夜間血圧パターンが改善されることが分かりました。
この試験の結果からも、治療抵抗性高血圧を合併している場合は、薬物療法よりもCPAP治療のほうが血圧を下げるのに有効であるといえますね。

CPAPが血圧を下げる効果を持たない場合はあるのか?

ただし、SASで高血圧を合併している患者さんなら、誰でもCPAPで血圧を下げることができるというわけではありません。
それは、日中に眠気を感じにくいSASの患者さんや、軽症・中等症のSASの患者さんの場合です。
こういった場合は、マウスピースのほうが降圧効果があると認められているそうです。

まとめ

特に重度のSASの患者さんや、高血圧を合併しているSASの患者さんにおいて、CPAPは血圧を下げる働きがあります。
CPAP治療を開始してから1か月時点でも降圧効果は出ているから、すごいですよね。

高血圧は心臓病や脳卒中など深刻な病気を引き起こしやすいです。
CPAP治療を行うことで、健康に生きていきましょう!

文献
高森クリニック (2019). 睡眠時無呼吸症候群と高血圧 Retrieved from http://www.takamori-clinic.com/sleep.html (2019年2月21日)
Martínez-García MA et al. (2013). Effect of CPAP on blood pressure in patients with obstructive sleep apnea and resistant hypertension: the HIPARCO randomized clinical trial. JAMA. 310, 2407-15.

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