CPAPを使っていると太るって本当?

CPAP

睡眠時無呼吸症候群(SAS)に非常に効果があるCPAP。
でも、実はCPAP治療の後は太りやすくなることがあるって知っていましたか?

この記事ではCPAPを使っていると太りやすくなってしまうメカニズムについて、2016年に京都大学が発表した研究を元に分かりやすくお話します。

SASは体重管理が欠かせない!

誰だって太るのは嫌だとは思いますが、SASを患った人にとって太ることは睡眠時の無呼吸の再発に繋がりかねない危険があります。
それは、睡眠時に無呼吸が起こるメカニズムを思いだしてもらえれば、十分に理解してもらえると思います。

睡眠時に無呼吸が起こるメカニズム

睡眠時に無呼吸に陥ってしまうのは、眠っているときに舌が気道を塞いでしまうためです。
いくら眠っていて筋肉が弛緩しているときとはいえ、普通の体格の人ならば舌が気道を塞いでしまうということにはなりません。

でも、SASを患っている人の多くは、のど周りやあごにぜい肉がたくさん付いてしまっています。
そのため、気道が狭くなっているので、眠っているときに舌が気道を塞いでしまうのです。

もちろん、SASの原因は肥満だけではありません。
元々のあごの小ささも関係しています。
しかし、現在日本にいると推定されるCPAP治療中の患者さん40万人のうち、60%~70%は肥満であることがSASの原因であると分かっています。
体重の増え過ぎはSASを助長するのがよく分かりますよね。

CPAP治療を行う上での注意点が発覚!

太っている人が多いSASの患者さんに非常に効果のある治療方法、それがCPAPです。
治療原理は非常に単純明快。
圧をかけた酸素を鼻から入れることで、気道に落ち込んだ舌を持ち上げて体内に酸素を供給してくれるといったものです。

CPAPは、SASの根治療法ではなく対症療法ではありますが、睡眠時の無呼吸状態を解消してくれるため、しっかり熟睡することができます。
CPAPを使い始めの時期は「ずっと空気が送り続けられるので苦しい」、「お腹が張った感じがする」、「目や口が乾燥して痛い」といった不快な症状を感じやすいです。
しかし、CPAP自体には副作用は一切ありません。
そのため、SASの対症療法としてCPAPは非常に効果があると、世界中で広く使われてきました。

でも近年、実はCPAPの治療でSASが良くなったにもかかわらず、体重コントロールで悩む患者さんが多いことが分かってきました。
CPAP治療後になぜ体重が増えやすくなるのかといったメカニズムを解明するための研究結果が、2016年に京都大学により発表されました。

CPAP治療後に体重が増えやすくなるメカニズム

京都大学の研究チームは、SASの患者さんでCPAP治療を受けていた人63名を対象に、CPAP治療の3か月後に追跡調査を行いました。
追跡調査では、CPAP治療を受けた前後での基礎代謝量や身体活動量、一日の総カロリー摂取量などが調べられました。
そして、CPAP治療を受けた後で体重が増えた人(体重増えた群)と増えなかった人(体重増えなかった群)とで何が違うのかを調べたのです。

CPAP治療後は、省エネ体質になるため体重が増えやすくなってしまう

追跡調査の結果、以下のことが明らかになりました。

・基礎代謝量について
体重増えた群、体重増えなかった群ともに、CPAP治療3か月後に基礎代謝量は5%ほど減った。
・身体活動量について
体重増えた群と体重増えなかった群とで身体活動量に違いはなかった。
・総カロリー摂取量
統計的に有意ではないが、体重増えた群ではCPAP治療後に増加する傾向にあった。
同様に、体重増えなかった群ではCPAP治療後に減少する傾向にあった。

つまり、「運動量自体は変わらないけど代謝が落ちているので、CPAP治療前と同じかそれ以上食べていると太ってしまう」ということが明らかになりました。

研究チームの意見

ダイエットをするとき、年齢と共に衰える代謝に嘆く人は多いです。
そのため、「CPAP治療を受けると代謝が落ちてしまうなんて…」と悲観的に捉える人もいるかもしれません。

でも、研究チームによると「体が楽になった分だけ余分なエネルギー消費がなくなった」と考えれば、CPAP治療によって代謝が落ちてしまうことは決してネガティブなことではないでそうです。
大切なのは、以下の2つを意識して生活することです。
①CPAP治療後に体重が増える場合もあること
②体重増加を防ぐためには食生活を特に見直すこと

まとめ

2016年に京都大学で発表された研究によると、CPAP治療を受けることで体重が増えやすくなってしまうことがあるそうです。
CPAP治療後に体重が増えやすくなってしまうのは、代謝が悪くなってしまうことが原因です。

そのため、CPAPでSASの症状が改善されたからといって、現状に満足してはいけません。
健康状態を維持し続けていくためには食生活を見直すことが重要であることを意識しておく必要があります。

SASは熟睡感不足や日中の眠気といった表面的な問題だけではなく、高血圧や心臓疾患、脳卒中といった重大な病気に繋がりやすいです。
CPAP治療が終わった後も食生活を乱さないよう心がけることで、あなたの健康を維持することができます。

文献
Tachikawa, R., Ikeda, K., Minami, T., Matsumoto, T., Hamada, S., Murase, K., Tanizawa, K., Inouchi, M., Oga, T., Akamizu, T., Mishima, M., & Chin, K. (2016). Changes in energy metabolism after continuous positive airway pressure for obstructive sleep apnea. Am J Respir Crit Care Med, 194, 729-738.

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